ダニ道楽blog

趣味で撮影している生物の写真がメインです。学術的な要素は薄味になります。ダニ類中心になりますが、他の生物の写真も投稿していきたい所存。

クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)の微細構造

2021年11月、わが家に侵入していたクロゴキブリを採集。
微細構造を撮影しました。
Twitterに上げたまま流れてしまうのも忍びないので、過去に撮影したぶんもまとめて掲載します。
 
まずは全体を見て見ましょう。

クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)

クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)

尾突起が無く、腹部が広めなのでメスです。
雌雄の差異はオスを捕獲した時に改めて比較してみましょう。
 

クロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa)

上半分拡大。

 

ここからは各部位の写真です。 

クロゴキブリの爪間盤と褥盤

クロゴキブリの爪間盤と褥盤

これは後脚の深度合成写真です。

爪間盤は吸盤状になっており、跗節には4枚の褥盤があります。

これらの吸着力によりゴキブリは垂直な壁面でも高速に走り回ることができます。

 

 

クロゴキブリの尾角

尾角の背面です。

 

クロゴキブリの尾角

クロゴキブリの尾角

尾角の腹面には太く短い剛毛状の感覚毛がたくさん、細くて長い感覚毛が疎らに生えています。細長い方の感覚毛は生え際の形状が ◎ のような形状に盛り上がっています。(後者の感覚毛は触覚には存在しません)

尾角は微妙な気流を検知するための器官であり、彼らの並々ならぬ俊敏性の生命線です。

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(念の為、尾角の位置を図示)

 

以下は3月に撮影した別個体の触角です。

鐘状感覚子

鐘状感覚子

鐘状感覚子は外骨格の「しなり」や圧力を検知するセンサーで、触角の基部に近い節に多く見られます。

 

剛毛状感覚器+短毛状感覚器

剛毛状感覚器+短毛状感覚器

触角の中間ぐらいの節。

剛毛状感覚器に加えて、微細な感覚毛が無数に生えており、これらが化学物質を検知する短毛状感覚器です。

 

以下は通常のマクロ撮影。

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脱皮中のクロゴキブリを撮影できたので掲載。

(何か見つけたら追記するかもしれません)

 

参考文献:

BSI生物科学研究所

http://bsikagaku.jp/

http://bsikagaku.jp/insect/cockroach.pdf

 

公益社団法人 日本農芸化学

https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=858