ダニ道楽blog

趣味で撮影している生物の写真がメインです。学術的な要素は薄味になります。ダニ類中心になりますが、他の生物の写真も投稿していきたい所存。

アトヘリヒラハダニ Bryobia pritchardi

2019/05/18 

場所、江戸川沿いの某所。

 

アトヘリビラハダニ(Bryobia pritchardi)です。

過去に2回ほど取り上げたクローバービラハダニとよく似ていますが、どの個体も

・体が赤褐色

・胴背毛が微小(ゴミやチリと区別できない)

・腹部後端が必ず凹む

ヘクソカズラの葉に寄生

(ここまでは植物防疫 増刊号No.10に記載あり)

(ここからは私の主観)

・葉の上にじっとしており、周辺の植物を探索する様子はない

・クローバービラハダニに比べて歩行は遅く、フラッシュを炊いて撮影しても走り回らない

以上のような特徴があります。

Bryobia pritchardi

Bryobia pritchardi

Bryobia pritchardi

Bryobia pritchardi

特に、「胴背毛が微小」というのは見分けるポイントとして非常に有効です。

体のシルエットなどの特徴は摂食状況によって変化しますし、体色も個体差に悩まされますが、毛だけはいつも同一規格なので安心して判断材料にできます。

 

本種はオスの存在も知られており、植物防疫増刊号にも記載がありました。

Bryobia pritchardi (male)

Bryobia pritchardi (male)

ハダニ科によく有る特徴で、オスは細身かつ脚が長めです。

ちなみに、本種の情報はネット上には乏しく、まず写真が1枚も見つかりませんでした。

「胴背毛が微小」といっても、実物を見るまでは、どの程度の小ささなのかイメージし難かったです。まさかこれほど微小だとは......ですね。

日本国内のビラハダニ属は本種含めて4種であり、前胴体部の4本の突起が属の特徴なので、(未知の新種や未記載種の可能性を無視するならば)同定しやすい方かと思います。

 

参考文献:

植物防疫特別増刊号 No.10 植物ダニ類の見分け方

Redescription of Bryobia pritchardi Rimando, 1962 (Acari: Tetranychidae), with an ontogeny of chaetotaxy (Juan Li, Tian-Ci Yi, Jian-Jun Guo, Dao-Chao Jin)

 

(論文の方はまだ軽くしか読めてないです)